ジョゼと虎と魚たち

監督:犬童ー心


大学生イツオはひょんなことから、足の不自由なジョゼと出会う。
イツオはどこにでもいる普通の大学生。イツオにとっての日常はジョゼにとって当たり前ではない。
ジョゼには何もない。ジョゼにあるのは暗闇と微かな希望だけだ。
住む世界が違う二人が次第に惹かれていき……。


ラストが秀逸。
さっきまで甘えていたジョゼがイツオの気持ちを察して引いていく姿に切なくなる。
もうね、しょうがない。仕方ない。ずるいけどこうなっちゃう。
これが現実だよ。
だって、無理でしょう。絶対無理だよ。
23歳の男の子がさ、背負えない。
そんな覚悟ないよ。
ジョゼの優しさに甘えちゃうよ。

ジョゼはイツオが自分から逃げたとも自分を捨てたとも思っていない。
彼は新しい世界をたくさん見せてくれた。一人では感じることの出来ない思いをたくさん抱かせてくれた。
何より「コワレモノ」に一人で生きていく強さをくれた。
一生分の幸せをくれたのだから、感謝しなくてはならない。
寂しさと引き換えに手にしたものは大きい。
だけど、ジョゼの寂しさが消えることもないだろう。

切ない。切ない。切ない。


ジョゼが堪らなく可愛い。
ひねくれたジョゼを可愛くさせた池脇千鶴が素晴らしい。

色々言ったけど、ジョゼが可愛い。

もう、ほんっと可愛い。